「知人の高齢者宅のエアコンが故障したが、購入や設置費用を捻出できずに困っている、どこかにエアコンが余ってないか。」というご相談がありました。
福井県では、令和3年に熱中症で救急搬送された6割以上が、高齢者でした。エアコンを使用していなかったための熱中症報告もあります。今後、さらなる温暖化、高齢化、貧困化により熱中症リスクが高まるといわれる時代です。市民の大事な命が守られるよう、経済的に厳しいご家庭であっても、暑さで健康を害したり命を落とす事はあっていいものではありません。
敦賀市第七次総合計画の戦略1「世代をつなぎ暮らしやすい環境づくり」の中で「健康づくりの推進」が掲げられ、《市民一人ひとりが健康に住み続けられる敦賀を目指し、生涯にわたる健康づくり》を推進するとあります。熱中症対策というのは、生涯にわたる健康の前提であり、また命に関わることのため、行政が最優先で取り組まなければならないことです。
R3県内救急搬送者の6割以上が高齢者 県内救急搬送者の4割以上が自宅で発生https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html
生活保護世帯のエアコン設置状況
気温上昇のため熱中症リスクが高まる中、保護世帯が熱中症になるケースも多いため、平成30年6月27日付で厚生労働省は「 『生活保護法による保護の実施要領について』の一部改正について」という通知を出しました。
(東京新聞より)一定の条件を満たす被保護世帯に対して冷房器具(いわゆるエアコン)の購入に要する費用(を、一定金額の範囲内において、)の、生活保護費による支給が認められるようになりました。一定の条件とは、この改正が行われた”後”に、生活保護認定を受けた生活保護世帯が対象という条件で、残念で不思議な事に、この改正前に生活保護認定されてきた方は、エアコン購入助成の対象にならない、不思議な設定になっています。そのため、利用できる方は限られていますが、それでも、助成の一切なかった頃と比べると前進といえる改正です。
「生活保護情報グループ」が、厚労省に情報公開請求し調査した【生活保護世帯のエアコン購入費の支給に関する調査について】によれば、平成30年度および31年度に敦賀市において、生活保護の冷暖房器具費は4件の支給があり、千世帯あたりの支給率は12.74とあります。調査対象全自治体の支給率4.68と比較しても、この敦賀市の数字は全体平均の2.7倍もあり、本市においては改正された制度がしっかり活用されている事が伺え、誇れる状況だと感じています。
同時に、厚生労働省の改正を見ても、敦賀市の支給状況を見ても、現状の生活保護費だけでエアコンを購入できないという判断がされたからこそ支給されるようになっており、購入補助費を拡大した必要性の大きさを改めて感じました。現在、敦賀市ではこの新基準により6件の支給がされているとのことです。
(2)高齢者世帯等へのエアコン設置補助
先ほど紹介した厚生労働省通知によれば、冷房器具の購入に要する費用を生活保護費として支給するにはいくつか条件があります。その中の1つが「熱中症予防が特に必要とされる者」というものです。これには高齢者や障がい者、子どものいる世帯などが該当するとされています。
2021年7月14日付朝日新聞には「命に関わるエアコン費 生活保護世帯への支給にばらつき」という記事があります。この記事には《自治体の中には、支給の仕組みがあることを積極的に説明していないところも少なくないとみられ、住む自治体によって対応に差が出ている。》《分析に関わった立命館大学の桜井啓太准教授(社会福祉学)は「支給率が低調な自治体もあり、制度周知が不十分で、エアコンが必要な世帯が利用できていないおそれがある。コロナ禍で家にいる時間が長くなり、熱中症のリスクが高まっている。自治体は制度の利用勧奨に積極的に取り組んでほしい」としている。》とあります。
しかし、敦賀市は新しく生活保護になった世帯へのエアコン購入費の支給率が全国的には高い地方公共団体です。平成30年第3回定例会にて、福祉保健部長は、山本貴美子議員の一般質問に対して、《議員おっしゃいますとおり、ここ最近の暑さは大変厳しく、連日、熱中症等による健康被害が発生しておりますので、エアコンの必要性は十分に認識しているところでございます》と回答されています。この認識に基づき、生活保護世帯への冷暖房器具費支給についても、積極的に周知に取り組んで来られた事がうかがえます。
同じく平成30年定例会にて山本きよこ議員は《全国では、非課税世帯や高齢者世帯、障害者世帯、ひとり親世帯などに対して、エアコン設置助成制度をつくり支援している自治体》があることを伝え、《敦賀市でも市独自の支援として実施すべき》と提案されました。しかし、その時点での回答は全国的に事例が少ないこと、県内では助成制度を実施しているところはないとの理由で、実施はせずに研究するとの回答がされました。
エアコン設置費等の助成をしている地方自治体は、平成30年第3回定例会現在では、たしかに少ないと言えるものでした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、高齢者住宅へのエアコン設置費用の補助をしている自治体は、大幅に増えました。
渕上市長は、平成30年第3回定例会の議案の市長提案理由の概要にて、敦賀市内において7月以降に熱中症と見られる症状による救急出場が7月以降50件を超えていることを踏まえ、熱中症対策への注意喚起をされています。本市は今年『また、今すぐ始めよう!高齢者の熱中症対策』という記事をホームページ上にアップして、高齢者の熱中症対策に特に強く注意を呼びかけています。敦賀市は、全国や県内と比べ、生活保護世帯へのエアコン助成が多くされている点から、他の自治体よりも生活保護世帯の熱中症について危機感を抱いており、助成も積極的にしていると感じます。
生活保護費にエアコンの購入に要する費用の支給が認められたという事は、生活保護世帯であってもエアコンを使用する事は贅沢な事ではなく、命を守り最低限度の生活を送るために必要と国が判断したというのがわかります。敦賀市においても、生活保護世帯がエアコンを使う事は贅沢ではなく最低限度の生活を送るために必要だと判断し、支給されてきたと考えます。そして、生活保護を受けていなくてもエアコンを購入・設置・使用できない世帯はあります。
また、令和3年9月24日付け市長コメント『新型コロナワクチン接種に関する市民の皆さまへのメッセージVol.2』で市長がおっしゃっているとおり、《ワクチンの2回接種を終えた場合でも、新型コロナウイルスに感染するリスクはあります。》重症リスクの高い高齢者の方などは、コロナ禍前ほど外出できない状態であり、その状態は今後も続くと言われます。
《一方、梅雨明け後は全国各地で記録的な酷暑となり、連日、熱中症の被害が相次いでいます。敦賀市内におきましても、熱中症と見られる症状による救急出場が7月以降50件を超えているところです。現在、市のホームページや防災放送チャンネルにおいて注意喚起を行っておりますが、今後も厳しい残暑が見込まれることから、市民の皆様には、気象情報等に注視し、小まめな水分、塩分補給など熱中症対策に留意していただきたいと存じます。》
②(質問)新型コロナウイルスの感染予防で外出を控えるため、在宅においての熱中症予防対策として、高齢者住宅へのエアコン設置費用等の補助を行っている自治体が増えてきています。具体的には現在、滋賀県米原市、東京都狛江(こまえ)市、愛知県名古屋市、新潟県魚沼(うおぬま)市、茨城県筑西市(ちくせいし)、茨城県猿島郡境町(さかしまぐんさかいまち)埼玉県川越市(かわごえし)、富山県富山市、大分県由布市(ゆふし)などが実施しています。平成30年第3回定例会にて、福祉保健部長は熱中症予防についてエアコンの必要性を十分に認識していると述べられていましたが、敦賀市において、新型コロナウイルスの感染の予防、熱中症予防の必要性の高い高齢者を対象として、どのような施策を行っているか教えてください。
また敦賀市は、県内に先駆けて全国的にも早期の段階でドローン配達の制度を試験運用する事になりました。これは、街中から外れた山間部で、近辺にお店がなく買い物に困る特に足のない高齢者世帯には助けになると感じます。県内他市町の状況を待たずに始めたと思われますが、本市が他市町の運用を待つ・待たないの基準を教えて下さい。
(想定回答)
特に基準は設けていません。
(想定回答)
状況を踏まえて柔軟に検討した上、実施するかどうかを決定しています。
高齢者に限らず、市民の皆さまには早めに休憩、塩分や水分をしっかりとるなど熱中症対策をして頂けるよう、改めてお願いし、HPなどでもしっかりアピールしていきたいと思います。また、高齢者の方に対しては、ご近所さんなどお近くの皆さんでこまめにお声がけしあいながら、支えあって頂きたいと思います。
⇒
③(質問)生活保護世帯に限らず「エアコンはあるが使わない」というお声も、複数お聞きしています。
・熱中症に対する情報や危機感不足でエアコンを使わない世帯もあれば、
・エアコンがあっても経済的に厳しく電気代を削るしかないためエアコンを使えない世帯もあります。
エアコンを使わない高齢者等について(といっても、それぞれのケース・熱中症の危機感不足・エアコン購入費や設置費がない・電気代がない等ありますが)それぞれどのような対策をされているか教えてください。
(想定回答)熱中症予防のためエアコンの使用を呼びかけている。また、設置費が不足する世帯には、生活困窮者自立支援事業などによる支援などを行っている。
⇒それは、高齢者も使える制度でしょうか?働く予定など返済できるアテのない高齢者なども利用できる制度でしょうか。
④(質問)新型コロナウイルスの感染拡大の予防、および熱中症予防の必要性の高い高齢者を対象として、エアコン設置費用等の補助を行ってはどうか。
(想定回答)予算がない。
⇒ 敦賀市ホームページの記載によると、「令和2年度寄付金額(寄附金の使いみち別)」では「自治体におまかせ」で887,725,001円が寄付されています。(R3以降は「健康福祉」の使途もありますし)これらの寄付の使い道として活用してはいかがでしょうか?
ふるさと納税は第七次総合計画にそって活用すると、今議会初日の答弁でもありましたが、第七次総合計画の「戦略1・世代をつなぎ暮らしやすい環境づくり」の中に、健康寿命の延伸もあります。対応SDGsでいう「3.すべての人に健康と福祉を」にも該当します。ふるさと納税の使い道として検討の価値があると思います!いかがでしょうか?
(想定回答)
⇒
・福井県社会福祉協議会に、ふく福くらしサポート事業はある。これはどういった制度で、こちらの制度は、高齢者世帯等のエアコン購入や設置、電気代なども対象となりうるのでしょうか?
(想定回答)
個別ケースによる
⇒条件を教えてください
(想定回答)
この事業は、市内で周知されているのでしょうか。高齢者のエアコン補助がないか、窓口に相談に行った際、長寿健康課では地域福祉課に回され、地域福祉課では社会福祉協議会に回され、いずれもこのふく福くらしサポートについてお聞きする事ができず、制度はないのだとあきらめざるを得ないのかなと感じました。後日、別のケアマネージャーさんにこういう制度があるよと聞いてこの制度を知ったのですが、担当課で情報共有できてないのか、周知されてないのか、いずれにしろ窓口で知る事ができませんでした。ごく一部の方しか使えない制度だとしても、せめて担当部署では情報共有されるべきで、窓口でも「ごく一部の人しか使えないので該当するかわからないのですが」と、案内されるべきと考えますが(案内されないと利用できないのですが)いかがでしょうか。なぜ教えてもらえなかったのか不思議で、そういうミスは命に関わりかねないと思うのですが、しっかり情報共有や周知をして頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
エアコンも多少の予算のかかるものなので、市民目線の提案として、
・温暖化の進む時代、生活必需品ともいえるエアコンを使えない状況にも関わらず、制度の利用条件が厳しく利用できない世帯もあります。自分ではどうしようもない状況まで頑張ってもどうしようもなく、公助に求めても、助成の対象とならないのであれば、市民同士で助け合える共助の仕組みとして、エアコンのリユース事業を行ってはいかがでしょうか?公助で賄えない部分を、共助で助け合う仕組みを作られてはいかがでしょうか。
(想定回答)
家電リサイクル法があり(※1)、他に実施しているところがない。(※2)
(※1)⇒家電リサイクル法・・・経済産業省のHPによれば、家電リサイクル法は、《一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。》とあり、不要になった家電をそのまま廃棄するのではなく、使える部分や材料をリサイクルしましょうというものです。
家電をリユースする事を妨げる法律ではありません。家電リサイクル法は、敦賀市でリユースを実施しないどういう理由となりますか。
(※2)⇒他で実施すれば、実施しますか? 県内で足並みを揃える必要のあるものと無いものがあると思いますが、これは足並みを揃える必要のあるものですか?循環型社会の推進として、また共助の仕組み作りとして、「優しい日本人のいたまち」である敦賀市が、県内の先駆けになってはいかがでしょうか。
またエコの観点でも、まだ使えるエアコンを処分するのは気が引けるもので、誰か使う人はいないかなと思うものです。そんな時、リユースの仕組みがあれば、もったいない事しないで済みます。共助したくても、仕組みがなければ人一人でできる事は限られます。(例えば、必要とする人を探したり、現れるまで保管するのも大変です)目の前に困っている人が見えなくても、困っている人のために何かしたいと思っている方はたくさんいます。敦賀市として、公助として税金を使えない(あまり使えない)と判断するものに対し、(共助を求めるのであれば)共助で市民同士が支えあえる仕組みとして、例えば清掃センターなどでリユースの仕組み作りをしてはいかがでしょうか?現状すでに清掃センターではリユース事業をされています。毎年のように、必要とされる方が出てくるエアコンもプラスされてはいかがでしょうか。
(想定)
使えない家電を処分しようと悪用されるかもしれない。
⇒東日本大震災で日本最大の支援組織となった「ふんばろう東日本プロジェクト」でも、家電の寄付の仕組みを作る必要がありましたが、悪用の心配がありました。しかし、「ふんばろう東日本プロジェクト」では実施されました。悪用されないためにリスク回避で、助けられる人を助けられないのは、いてもたってもいられなかったそうで、じゃあどうしたかというと、家電を寄付してもらう際に、寄付して下さる方の「お名前・住所・電話番号」を記入してもらったそうです。送る側に責任感を強める事で、悪用を防ぎました。また連絡先がわかる事で、寄付してもらった方が直接、お礼を伝える事ができるんです。人と人との繋がりが生まれ、寄付した方も寄付された方も、人と支えあえる喜びを感じる事ができる。それが次の支えあいに繋がります。悪用を懸念されるなら、寄付者をお名前など連絡先を記入してもらうようにしてはいかがでしょうか。東日本大震災でうまくいった事が、敦賀市民は責任感がなく悪用する人がいるとは思えませんが、いかがでしょうか。
【まとめ】
生活保護受給者や非課税世帯など、自分ではどうしようもない状況まで追い込まれてしまった方々は、「健康で文化的な最低限度の生活」の最低限のレベルをどこまで下げないといけないのか、いたたまれない気持ちになります。一般的には生活必需品であるエアコン・冷蔵庫・洗濯機などの家電すら購入できず、貧困の格差がどんどん広がっているのが日本の現状です。その格差があるからこそ、前を向いて生きていこうと思うには、頑張りだけでは持たなくなってきます。誰かに支えられている・自分は1人じゃないんだと思える事は、生きて活動するエネルギーになります。まちづくりは、市民みんながメンバーです。市民の元気を底上げするためにも、金銭的な補助は困ってる方にはとても助かりますし、リユース活動は譲る側譲られる側のどちらの役にも立ちます。金銭的に困っている市民も含め、市民一人一人が主役であれるよう、敦賀市では金銭面や共助の仕組み作りなど、公的な補助が求められています。
米原市 高齢者住宅へのエアコン設置費用の補助について/米原市
由布市 http://www.city.yufu.oita.jp/newly/eaconjosei/
狛江市 ご家庭のエアコン購入設置費を最大5万円助成します(1297号2面)
名古屋市 在宅高齢者エアコン設置等助成事業について(暮らしの情報)
魚沼市 https://www.city.uonuma.niigata.jp/docs/2021060400010/
飯綱町 高齢者世帯エアコン設置補助事業
相馬市市民税非課税の高齢者世帯へエアコン購入費用を助成します/相馬市
荒川区 今年も快適!省エネエアコン助成事業/荒川区公式サイト - 東京
港区ホームページ/高齢者エアコン購入設置費用助成 - 東京
足立市 気候変動適応対策エアコン購入費補助金(設置後申請)
厚労省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/seikatuyousiki/seikatuyousiki.pdf
年金暮らしでも生活保護を受けられるのか?もらえる支給額やメリデメを解説 | 株式会社フィナンシャルドゥ
リバースモーゲージ(不動産担保ローン) 使えるかな?
□北陸銀行 商品概要説明書(https://prtimes.jp/a/?f=d27374-180-pdf-1.pdf)
(資産価値の高い住宅を持っていないと対象じゃなさそう。使途はほぼリフォームなどの住宅ローン用)
□福井県社会福祉協議会 リバースモーゲージ
http://www.allreversemortgage.tokyo/6kiso0801.html
年金
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2021/202104/202104nenkingaku.html
厚労省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
https://www.facebook.com/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97-102974178686334
生活保護問題対策全国会議 -厚労省から、エアコン購入費・設置費支給を認める通知!
生活保護世帯のエアコン 自治体間で支給状況に30倍の格差
北九州市 生活保護世帯へのクーラーの設置について(寄せられた市民のこえ)
厚生労働省/「生活保護法による保護の実施要領について」の一部改正について(通知)平成30年6月27日
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